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第五回 サステナビリティ運用とパフォーマンス評価

みなさん、こんにちは!

第5回は、「サステナビリティ運用とパフォーマンス評価」をテーマとして進めてまいります。今まで、サステナブルな活動を行うための体制、方針、重点課題、KPI(重要業績評価指標)および活動計画について解説してまいりましたが、いよいよサステナビリティの運用に入ります。

サステナビリティの運用にあたっては2つのポイントがあります。
1つ目は、「経営者のリーダーシップとコミットメント」、2つ目は「従業員に対するサステナビリティ教育」です。

それでは、「経営者のリーダーシップとコミットメント」から解説を進めてまいります。
ここでいう“経営者”とは、株式会社の場合には取締役を示し、財団または社団法人(NPO、NGO含む)の場合には理事を示しています。コラムの第3回目で説明した通り、サステナビリティ委員会のメンバーは、委員長に代表取締役または担当役員、委員会には、各部門の責任者(取締役、執行役、部門長等)で構成することをお勧めしております。従って、“リーダーシップとコミットメント”の役割を担うのは、取締役中心で構成されたサステナビリティ委員会であるということになります。
国際規格であるISOの「品質マネジメントシステム7原則」では、“リーダーシップ”について「すべての階層のリーダーは、目的および目指す方向を一致させ、人々が組織の品質目標の達成に積極的に参加している状況を作り出す」と定めています。
つまり、リーダーシップを発揮すべきサステナビリティ委員会は、全従業員に対してサステナビリティ経営の重要性とマテリアリティマップで示した企業の目指すべき方向を一致させ、マテリアリティ目標(KPI)の実現に向けて全従業員が参画できる環境を創りださなければなりません。
実効性のあるサステナブルな活動を行う上で、サステナビリティ委員会メンバーである取締役が積極的に関わり、会社をどの方向に導くのかを意識し、従業員に対して目的・目標を明確に打ち出すことが大切です。リーダーが興味を示さないものに、従業員が真剣に取り組むことはないわけですから、サステナビリティ委員会のリーダーシップは企業の発展をも左右し得る重要なポイントといえますね。

サステナビリティ運用における2つ目のポイントは、「従業員に対するサステナビリティ教育」です。サステナビリティ委員会がリーダーシップを発揮しマテリアリティを示したとしても、実際に活動する従業員に理解されなければ、サステナブルな活動は形骸化しマテリアリティの実現は難しくなります。
従業員に対する教育・訓練では、サステナビリティ方針やマテリアリティマップに定められた活動テーマを自らの課題として主体的に捉え、サステナブルな活動を行うことで環境、社会、経済のさまざまな課題に“どのような貢献ができるのか”、“どのような影響を与えることができるのか”について認識(価値観の変容)させることが重要となります。そして、“サステナビリティ活動計画”に基づいて、自らが各課題にどのように取り組むのか、具体的な活動計画を理解させなければなりません。
サステナビリティの運用では、定められた間隔でKPIに対する“パフォーマンス評価”を行います。KPIは設定して終わりではなく、達成状況を定期的に監視していかなければKPIを設定した意味がありません。活動状況や達成状況を取得(収集)するためには、あらかじめ定められた評価タイミング(毎月、四半期ごと、半期ごと等)、測定方法および測定部門(者)を事前に決めておくことをお勧めします。 収集されたKPIに対する活動結果は、サステナビリティレポートやCSRレポートなどの報告書としてまとめ、社内外のステークホルダーを共有することが重要です。サステナビリティにおける報告では、企業のサステナビリティ方針を明確にするとともに、自社にとって都合が良い情報だけではなく、時にはマイナスの情報も含め正しく開示しなければなりません。
このような活動報告を作成し公表するメリットとして、環境、社会、経済的側面に配慮し、バランスの取れた経営の意思決定に活用することができること、社員が自社の企業活動およびその意義について理解を深められること、そして企業が社内外のステークホルダーとコミュニケーションをとるための情報基盤となることなど企業のサステナビリティ推進の情報開示を担う重要なツールとなります。

このように、「サステナビリティ運用とパフォーマンス評価」では、グリーンウォッシュのような「見せかけの活動」にならないよう、マテリアリティに対する活動状況を「サステナビリティレポート」や「CSRレポート」としてまとめ、社内外のステークホルダーと共有するプロセスが重要となります。

さて、次回で最終回となります。最終回は「サステナビリティ推進の継続的改善」について解説します。

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