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第六回 サステナビリティ推進の継続的改善

みなさん、こんにちは!
サステナビリティコラムも、いよいよ最終回を迎えました。

最終回は、「サステナビリティ推進の継続的改善」について解説してまいります。
継続的改善は、マテリアリティの実現に向けて取り組んできた活動状況(結果)に対する「適切性」、「妥当性」、「有効性」について継続的に改善する目的で行います。
それでは、サステナビリティ推進における継続的な改善を行う上での「重要な改善ポイント」について解説してまいります。

1つ目の改善ポイントは、「マテリアリティ」です。
マテリアリティの設定では、自社を取り巻く内部・外部の課題や利害関係者の要望などから長期的なスパンで優先して取り組むべき「重要課題」を設定しています。したがって、内部・外部の環境や利害関係者の要望に対する「変化点」については常に監視しなければなりません。環境、社会、経済に大きな変化があった場合には、持続的な企業価値の向上と持続可能な社会の実現に向けて策定した「マテリアリティ」の見直しが必要となります。
「マテリアリティ」を変更する場合には、マテリアリティ委員会の承認後、取締役会の決議を経て新たなマテリアリティマップと活動計画を策定し、内外のステークホルダーに開示してください。

2つ目の改善ポイントは、マテリアリティ実現のために策定した「活動計画」です。
活動計画では、「KPI(重要業績評価指標)の妥当性」と「活動計画の有効性」を中心に見直しを行います。
KPIの達成状況を検証し、目標を達成した場合には何をどのように行ったことで目標が達成できたのか、その成功要因について分析します。目標が未達の場合には、何がうまくいかなくて達成できなかったのか、目標の達成を阻害した要因について分析します。その評価結果に基づいて、KPIそのものを上方・下方修正する必要があるのか、または活動計画を見直す必要があるのかを検討し、改訂しなければなりません。

3つ目の改善ポイントは、「サステナビリティ推進体制」です。推進体制には2つの考え方があり、1つはサステナビリティ委員会や各部会の執行体制を示す場合と活動計画に基づいて活動する従業員を示す場合があります。ここではどちらか一方ということではなく、それぞれにおいての見直しポイントを解説いたします。
サステナビリティ委員会や部会の執行体制では、①役割および責任・権限の明確化、②人員配分の適切性、③要員の力量(知識・経験)を中心に評価することが重要です。特に中小企業においてはサステナビリティ推進のための専任要員を配置することが難しいため、執行体制の人数、知識・経験に対する妥当性と有効性の評価結果に基づき見直しを行うことが重要です。1年間で計画通りの結果が残せなかったからといって、すぐに執行体制を変更するのではなく、活動結果に対する反省に基づき知識習得と経験を積みながら進めていくことをお勧めします。
一方、従業員に対しては、①従業員への教育訓練状況と認識度、②従業員の取り組み状況に対する評価結果に基づいて見直しを行います。第5回のコラムで説明したとおり、企業がサステナブルな活動を行うことで環境、社会、経済のさまざまな課題に“どのような貢献ができるのか”、“どのような影響を与えることができるのか”について従業員に認識(価値観の変容)させることが重要であり、自らが各課題にどのように取り組むのか、具体的な活動計画を理解させなければサステナブルな活動は形骸化しマテリアリティの実現は難しくなります。
従業員に対して行った教育訓練の実施方法(方法、頻度、研修資料等)の有効性評価の結果に基づいて改善を行うことが重要と考えます。

持続可能な社会の実現に向けたサステナビリティ経営を推進することは、企業のブランドイメージの向上、ステークホルダーに対する信頼・信用の向上、社会的価値の向上、優秀な人材採用など多くの観点で経営の安定化につながる効果が期待できます。
そのためには、サステナビリティ推進における、適切性、有効性、妥当性の評価結果に基づいて、上記の3つのポイントを継続的に改善していくプロセスは重要となります。
サステナブルな事業活動の継続的改善を通じて、ご自身の会社の持続的な成長を実現されることをご期待申し上げます。

以上を持ちまして、6回にわたる「サステナビリティコラム」を終了いたします。
お読みいただきありがとうございました。

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