ISO22000は、国際標準化機構(ISO)が発行した食品安全マネジメントシステム(FSMS=Food Safety Management Systems)の国際標準規格です。
正式名称は「食品安全マネジメントシステム-フードチェーンのあらゆる組織に対する要求事項」で、食品の生産から加工・販売に至るまで、あらゆる段階の組織に適用が可能です。
食品の流通は国際化・複雑化が進んでおり、視覚・嗅覚・味覚など個人の感覚に頼る管理方法で対応することはできません。また、食品に関係した事故は作業者の勘違いや工程の不備に起因することが多く、設備投資による防止には限界があるとされています。
食品の安全性は消費者の健康と生命に直接関わるため、社会の要求も高いものになります。
ISO22000は、品質マネジメントシステムの国際標準規格ISO9001に、適正製造規範(GMP=Good Manufacturing Practice)やHACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point)などの食品安全マネジメントシステムに関する規範・手法を組み合わせて定められており、危害防止・検証・監視・改善といったプロセスの総合的な管理に役立ちます。
HACCP、ISO22000をはじめ、GFSI*に承認された国際的な食品安全スキームであるFSSC22000、SQFコード、GLOBALG.A.P.といった現在主流となっている食品安全関連規格やスキームについて、最新動向も交えて解説する無料セミナーを開催中です。
*GFSI:世界の消費財流通業界メーカー・小売企業など400社以上が組織するTCGF(The Consumer Goods Forum)によって運営される非営利団体。
HACCPは、危害の分析と重要管理点(CCP=Critical Control Point)の管理を通じて食品の安全を確保する手法です。これは、完成した製品を抜き取り検査することで危険を排除する、HACCP以前の食品安全管理を「予防」へ進化させる革命的なものでした。
ISO22000は、このHACCPを取り込んだ上で、食品安全マネジメントを、システムとして管理するように求めています。
食品産業は、季節の変化や商品の改良に伴い、工程・素材の変更が発生しやすい業界です。見直しを怠ったために、万全の安全管理体制が全く機能しなくなっていたという例も珍しくありません。
ISO22000に基づく食品安全マネジメントシステムは、計画・実行・評価・改善からなるPDCA(Plan Do Check Act)サイクルによる継続的な改善が行えます。ISO22000に従って構築されたシステムは陳腐化しにくく、確実に食品の安全を守ることができます。
総合衛生管理製造過程(総合衛生管理製造過程による食品の製造又は加工の承認)は、食品衛生法施行令が定める種類の食品を対象とした厚生労働省管轄の食品安全管理の承認制度で、通称「マルソウ」と呼ばれています。
マルソウはHACCPの手法を取り込んでいますが、HACCPそのものではありません。食品衛生管理だけではなく、品質管理の概念まで含んでいる点に特徴があります。
要求事項は多岐にわたっていますが、基本的にはその組織単独の食品衛生を対象としており、フードチェーンを考慮し食品安全全般の危害を分析するものではありません。大手の食品メーカーでも適切な運用を行うことは難しいといわれることもあるほどで、マルソウの承認を受けた有名食品メーカーが大規模な食中毒事件を起こした例もあります。
ISO22000は食品安全全般を対象としているため要求事項はマルソウよりも広範ですが、構造的な部分に費用を掛けるものではなく、要員に対しても食品安全ハザード予防活動を適用でき、シンプルで、システムの構築・運用も行いやすくなっています。
また、品質管理を含んでいないのはISO22000が劣っているからではなく、この規格そのものが食品製造とそのフードチェーンの実現プロセスに対する予防処置の管理を実践するように設計されているためです。なお、組織全体の品質管理も行いたい場合は、併せて品質マネジメントシステム規格であるISO9001を取得することで実現が可能です。
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